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はだしのゲン 第8巻

 

1950年6月。ゲンは中学生。朝鮮戦争が始まり、日本の基地から米軍戦闘機が飛び立っていく。また日本が戦場になるのではないかと、不安をつのらせるゲンに、級友の相原は、戦争はなくなりはせんわい、古代ローマ時代から侵略をくり返し、人間は進歩せんのよ、と言い放つ。ゲンは反感を持つが、実は相原は、少し前に白血病を発症し、プロ野球選手になる夢をあきらめ、自暴自棄になっていた。さらに、ゲンが姉のように慕う夏江は、盲腸を発症するが、何度手術をしても傷口がつかず、原爆の放射線の影響と考えられた。
市民の間に高まる反戦の声。しかしGHQは、デモや集会を厳しく取り締まらせ、8月6日の平和集会も開けなかった。戦争反対を表明していたゲンの担任が辞めさせられ、赤狩りとよばれる一連の動き。そのうえ、自衛隊の前身である警察予備隊をつくることが決まる。終戦からまだ5年というのに。

広島市の復興をうたった平和都市建設法のもと、ゲンたちの家が壊されることになった。三兄弟は、長兄の浩二が結婚、次兄の昭は大阪の会社へ、ゲンは隆太たちの家へとそれぞれ分かれゆく。ゲン13歳。自立への道を歩み始める。