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はだしのゲン 第9巻

 

兄たちに頼らず自立すると決意して別れたものの、寂しさが募るゲン。そのうえ、姉のように慕っていた夏江が、盲腸炎の手術をした後体調の戻らないまま亡くなる。

夏江の亡くなった1950年12月30日は、アメリカが、朝鮮戦争において原子爆弾を使用すると決めた日であった。その後2度の計画(1953年5月、1969年4月)を含め、国際世論による反対が大きく、実行はされなかったものの、核兵器使用の危機は常に存在した。

ゲンは、ある貧しい画家天野との出会いから、絵かきだった父を思い出し、自分も絵かきになって、芸術で国境をなくす仕事がしたい、と考えるようになる。とはいえ、大きな理想だけで生活の糧は得られない。しかし、ひょんなトラブルから、看板屋の仕事を手伝うことになったゲン。天野から本格的に絵を学び、看板職人の道を目指す。 (は)