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はだしのゲン 第7巻

 

戦争孤児の隆太、勝子、ムスビの親代わりだったおじさんが倒れ、息を引きとる。おじさんの遺した小説には、原爆投下による惨状、被爆者につづく苦しみが描写され、ゲンたちはそれぞれ家族の最期の姿を思い出す。また、紙の調達を頼んだ朴さんからは、日本に国をとられ原爆にも遭った朝鮮人の二重の苦しみを聞く。

ゲンたちが、おじさんの本を路上で配っていると、アメリカのキャノン機関(諜報機関)に目をつけられ、尋問を受ける。朝鮮戦争が始まるかという情勢に、アメリカは情報を欲していた。
余命わずかと判断された母親は、病院から自宅に戻った。終戦後4年、ゲンたちに大切なことを伝え、とうとう息絶えたのだ。――自由にものを言えない社会、戦争をよろこぶ世の中にしてはいけないよ。戦争をおこそうとする企てをはやく見破って、みんなで声を張り上げ反対してふせぐのよ。

さらに、九州の炭鉱から帰った長兄浩二も、言葉を合わせる。――もう二度とわしらが受けた歴史を逆もどりさせんように、日本人みんなが力を合わせんといけんのじゃ。戦争と原爆のけむりがたてば、日本人みんなが力を合わせて消していくことじゃ。 (は)