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世界のたね 真理を探求する科学の物語 上

 

自然科学の歴史を、人類誕生から現代につながる大きな「物語」としてつづる。
上巻は、人類誕生から産業革命まで。アリストテレスガリレオニュートンなどが登場します。

第1章「好奇心」でいきなり、はっとさせられました。自然界で唯一たしかな規則性をもつ星空が神々の存在と結びつき、科学の発展の一方で信仰が意味を持ちつづけていること。そのため、違う考えを持ってもいいことに何百万年も「気づかなかった」という指摘は、分断をつづけている世の中の根深さを考えました。

おもしろかったのは、古代ギリシャ人の研究熱心さと、インド人の数学分野に秀でた能力、それらの知識を収集し利用することに長けていたアラビア人という関係性。真理探求の歴史を人類全体とおして見ると、民族・地域をまたいでバトンが渡されてきたということは、大きな希望です。

難しい数式は一切なしで、言葉で説明してくれるおかげで、数学、物理、化学・・・が苦手な私も、挫折せずにおもしろく読み通すことができました。 (は)