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世界のたね 真理を探究する科学の物語 下

 

下巻は、ダーウィンマリー・キュリーアインシュタインといった人たちの分野を中心に。宇宙という膨張し続ける巨大な空間・時間の世界と、ウイルスや遺伝子という極ごく微小な世界という、両極端に広がる人間の好奇心が物語られます。真理探究のバトンが千年、万年と時代を超えて「つながった!」という感動は、伝記では味わえない驚きでした。

本編の最終章ともいえる第30章「生命の神秘」では、放射能の発見・利用や、遺伝子工学の発展に関する科学者の社会的責任について、規制をつくれるのは科学者自身なのだとし、その一員になるかもしれない若い読者へメッセージを送っています。

真理を探求する人間の果てない好奇心は素晴らしいけれど、1つの発見が与える、社会的な、未来への影響を考えて行動できるのも人間。その責任の重さが、つき刺さります。 (は)