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アリのけっこんひこう(かがくのとも2023年4月号)

 

前作『アリのかぞく』で1匹から始まった家族。6年ほどたつと、羽アリが独立の時期を迎える。本作では、アリの結婚にスポットを当てます。

春になり温かい日が増えてくると、羽アリたちが巣穴から顔を出しては、外の天気をうかがっている。気温や湿度、風の強さなどの条件をさぐり、待っているのは「蒸し暑くて風が弱い」日。いよいよその日、空に向かっていっせいに飛び立つ。相手と出会い飛びながら交尾をすると、女王アリは、その後20年近くの生涯ずっと卵を産み続ける。交尾を終えて地面に下りると、いらなくなった羽は折って捨ててしまうという生態にも驚きます。

科学的体験のきっかけをつくる絵本。巣の中を見るのは難しそうですが、この結婚飛行なら見るチャンスがあるかも、見てみたい!と思わせる。本州では、5月中旬くらいが”見頃”だそうです。 (は)