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ふふふん へへへん ぽん!ーもっと いいこと きっと ある

 

ある日、犬のジェニーは、何もかもそろっている退屈な暮らしよりもっといいことを求めて、世の中へ出ていきました。

まず出会ったのは、サンドイッチマンをしているぶた。広告板には、「主演女優求む!世界マザー・グース劇場!食べほうだい!」と。ジェニーはすぐさま「わたし、なりたい」と申し出ますが、「けいけん」なしではなれないと言われ、「けいけん」なるものを得るため旅を続けることに。

翌朝はやく、通りかかったねこの牛乳配達馬車に乗せてもらい、大きな白い家に着くと、そこの赤ん坊の7人目の子守りとして雇われます。小間使いが言うには、赤ん坊に食べさせることができなければ、地下室のライオンのえさにされる。チャンスは1度だけ。ところが、赤ん坊に食べさせられないどころか、赤ん坊をライオンにさらわれるという事態に。

ジェニーは、何もかも失った気持ちで外へ出ると、空には満月が輝いて、期は熟していました。月がジェニーの方に近づいてきたか思うと、白い服を着たまんまるな女の人の姿になり、ジェニーを「世界マザー・グース劇場の主演女優に」と告げます。演目は「ふふふん、へへへん、ぽん!」ほかの出演は、ぶた、ねこ、小間使い、そしてライオンも。ジェニーは、いまやスター女優となったのです。

”ただの”犬である時のジェニーはほとんど無表情ですが、舞台に立っている時のなんと生き生きとしていること!これぞ天職。ひょうひょうとしているジェニーが、人生の悲哀やスリリングな瞬間にも、どこかユーモラスで笑わせます。 (は)

(原書:ハーパー社)