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時の旅人

 

ロンドンから転地療養のため田舎の農場に来たペネロピー。ある日、屋敷の2階に、古い衣装の貴婦人たちの姿をみる。

その日以来、ペネロピーは、そこが荘園屋敷だった16世紀の世界と現在とを度々行き来し、囚われのスコットランド女王メアリーを救おうとする領主アンソニーをはじめ、バビントン家の人々と心を通わす。

そして、”時の旅”を経る中で、歴史を変えられずとも、人が生きるつづけることの強さを知り、自分のものとしてゆく。

作者が幼い頃を過ごした農場を舞台に、自身が見た夢をもとに歴史的事件を織りこんだ物語。ハードカバー版(小野章訳・評論社)にはない、章扉の挿絵がイメージを広げてくれます。 (は)