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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

いつかの約束1945(2024課題図書中学年の部)

 

ゆきなとみくは、図書館に行く途中でおばあさんがしゃがみこんでいるのを見つけます。すずだというそのおばあさんは、自分は9歳なのに、急におばあちゃんになったといいます。これは認知症というのでは? とみくなは思いますが、すずちゃんは、確かに本当に9歳の子どものような話し方をします。ひょっとすると、本当に9歳の女の子なのに、おばあさんと体が入れ替わったのではないか? ゆきながそう言い出したことから、入れ替わった女の子を探しての街歩きが始まります。でもスーパーに食べ物がたくさんあることに驚いたり、アスファルトの道路を初めて見るといったり、缶ジュースを、こんなおいしいものは飲んだことがないと言ったり、すずちゃんはなんだか不思議。最後、探しに来た孫と出会い、やっぱり認知症だったのか、と思う二人に、最後思いがけないどんでん返しがまっています。戦争の恐ろしさだけではなく、戦争がないからこそできることが語られているからこそ、子どもたちも共感して読めそう。読みやすいけれど、とても心に残る。