吃音の症状がある作者が、子ども時代の感覚や体験をつづった。
朝起きて目にする物を、滑らかに音にできない辛さ。黙ってご飯を食べ、学校へ。発表のとき、うまくしゃべれないのをみんなが笑う。
そんなぼくをおとうさんは、静かな川へ連れていく。川の水を2人で眺めながら、「あれが、おまえの話し方だ」とおとうさん。
川は泡だち、なみうち、うずを巻いて、くだけていた。でも、やがて急流をこえた先で、ゆったりと滑らかな流れになるのだ。
「川だってどもってる」。
そんな川の姿、それがぼくの「流れるような」話し方なんだ。
