イスラエルに暮らすアラブ人でキリスト教徒という、少数派の女性ウンム・アーザルの暮らしや思いと半生を物語る絵本。
14歳の時に、出かせぎにでる父・兄弟と共に故郷を離れた。やってきたハイファの街は、イスラエルで唯一アラブ人とユダヤ人が平和に暮らせるところ。
ウンム・アーザルは30歳で結婚するも、夫の事業がうまくいかず、1人で働き4人の子どもを育てた。その時以来30年以上続けているのが、修道院のまかないの仕事。
そのメニューや、家族やかわいい孫たちのためにつくる料理の数々が紹介され、それがとてもおいしそうで、異国の香りも感じる。
文化人類学が専門でパレスチナ、イスラエルに通う著者の、「紛争だけではない中東の姿を」伝えたいとの思いがこめられた。
中学年から読めるが、著者が一人称で語る文章やウンム・アーザルの思いなどは、どちらかというと大人好み。中高生に紹介するとよさそうです。 (は)