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こんにちはアグネス先生 アラスカの小さな学校で

 

こんにちはアグネス先生―アラスカの小さな学校で (あかね・ブックライブラリー)

こんにちはアグネス先生―アラスカの小さな学校で (あかね・ブックライブラリー)

 

 1948年、今まで先生が居ついたことのないアラスカの小さな学校にアグネス先生がやってきた。今までの先生は、わたしたちの魚のにおいをいやがったり、あまりのも勉強ができないのにあきれたり(仕事や家事で、なかなか学校に来られないのだ)、いたずらに怒ったりで逃げてしまった。でも、アグネス先生はちょっと違った。教室をきれいに掃除して、カラフルな世界地図をはって、教科書は全部しまってしまった! 一人一人に合わせた教科書を作ってくれたし、楽しい本を読んでくれる、レコードだってかけてくれる。今まで計算なんてだいきらいだったけど、お店でお釣りをごまかされないようにするために大切だときいて、がぜんやる気になった! ねえさんのボッコは、耳が聞こえないから学校に来たことなんてないのに、先生は、ボッコまで学校に入れて、手話というのを教えてくれた。はじめはしぶい顔だったかあさんも、ボッコと手話で話ができるようになって大喜びだってよくわかる。アグネス先生はイギリスからアラスカに来て、もうずっとアラスカの子どもを教えてきたのだ。オックスフォードを懐かしそうに語るアグネス先生をみると、みんなちょっと悲しくなってしまう。先生と離れたくないから。教育で子どもを伸ばすために生涯をささげた一人の先生の姿が、とても魅力的に浮かび上がる。