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はてしなき追跡

 

はてしなき追跡 (くもんの海外児童文学シリーズ)

はてしなき追跡 (くもんの海外児童文学シリーズ)

 

 ジョンは13歳。ジョンが幼いころに両親は飛行機事故で亡くなり、祖父母と暮らしてきた。田舎の暮らしをすべて教えてくれた祖父は、狩りの手ほどきもしてくれた。だが、その祖父が癌にかかった。医者は手の施しようがないというけれど、ジョンは信じられない。今年の狩りは一人で行かなくてはならない。ジョンは、冬の食料としてのシカ肉を手に入れるために出かけ、シカを追い詰めるがなぜか引き金が引けない。このシカを殺すのではなく、触れることができれば祖父は助かる。そんな思いに駆られ、ひたすら追跡を始める。大切な人の死という事実を受け入れられない絶望感が幻想的な追跡の中に描かれていて印象的。