
ちくま評伝シリーズ〈ポルトレ〉インディラ・ガンディー: 祖国の分裂・対立と闘った政治家 (ちくま評伝シリーズ“ポルトレ”)
- 作者: 筑摩書房編集部
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2015/12/17
- メディア: 単行本
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このシリーズは、下調べをきちんとして無難にまとめたそこそこデキル大学生のレポート風だが、概要を知るには悪くない。インディラ・ガンジーは、ブラーマンの名家の出で、祖父も父母もインド独立運動家。イギリスから独立したインドの初の首相となった父ネルーを、若くして亡くなった母の代わりにサポートしてファーストレディー役を務め、その死後首相となる。若い時にマハトマ・ガンジーとも親交があり、父は娘を同志として教育していた。人口爆発による食糧不足と、宗教対立による混乱のインドのかじ取り役を果たし、一度は政権を追われるも、チャンスをつかんで返り咲くというしたたかな政治家であったが、暗殺による非業の死を遂げる。時に強権政治を発動し、息子に政権を譲ろうとするなど負の部分を「困難な中でしかたがなかった」的に総括しているのが気になったが、政治家の伝記であるため、インド現代史の歴史がだいぶ理解できた。それにしても、どうしてこんなに国内が荒れるのか! ここのところ経済発展が進むインドだが、まだまだこの国はりかいできません。もう少し、インディラの負の面にも焦点を当てながら、そして彼女と対立した勢力の側も描いてくれると、もっと立体的な理解ができるように思った。