児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ねこの町の本屋さん ゆうやけ図書館のなぞ

 

 ねこのまちのクララさんは、おもて通りに引っ越してきて本屋さんを始めますが、お客がきてくれません。近くのパン屋のリリアさんから犬の村に楽しい図書館があって、リリアさんの子どもがそこで本に夢中になっていると聞き、犬の村に行ってみますが、図書館は閉まっているうえに荒れた感じです。子どもたちもサッカーで遊んでいます。ところがゆうやけが出ると、みんなは「ゆうやけ図書館に行こう」といいます。灯がともり、音楽が流れ、らくがき絵本コーナーがあったり、かみしばいの部屋があったりで楽しそう。ここは郵便局長のおばあちゃんが館長だったが、亡くなってしまい、局長がゆうやけの日にそっと鍵を開けてくれるとのこと。クララさんは、家に帰ると、本をテーマ別に並べ、おしゃべりじゅうたんコーナーを作ってリニューアルします。読めば読むほど、友だちがふえる、本は友だちだから、それが「本のひみつ」とクララさんは思いだしたからです。 というおはなしですが、実は私は読んでいて混乱しました。挿絵がかわいらしいので、子どもたちは手にとると思うのですが、私だったらまずゆうやけの日しか利用できない図書館は絶対イヤです。それと、クララさん、図書館やりたいの? 本屋やりたいの? 本屋だったら、本を販売して収入を得なければならないのですが、収益について考えられているように見えません。だいたい、利用してもらいたいなら中にいないで、子どもたちのところに出ていってPRすればよさそう。実際、夕焼け図書館で子どもたちと会ったらその後に子どもたちは本屋にきてくれますが、改装で閉めています。なんだか、楽しそうなイメージで作者が満足しているだけに見えてしまいました。