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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

貸出禁止の本をすくえ!

 

エイミー・アンは10歳。本が大好きなおとなしい女の子だ。ところがいつも借りていた大好きな『クローディアの秘密』が突然貸出禁止になってしまった。保護者が子どもに良くない本として何冊かの本を貸出禁止に申請してきたのだ。司書のジョーンズさんは、教育委員会で抗議をするから手を貸してほしいと言うけれど、いつでも何も言えないエイミー・アンには無理! 家でも妹たちのために譲っている。だけど『クローディアの秘密』を買ってもらい、他の貸出禁止になった本を友だちが持っていると知った時に、ふとひらめいた。貸出禁止の本を少しづつ集めて、お互いに読めるようにしようと。親友の弁護士志望のレベッカや級友のダニエルが協力してくれた。でもマービンは許せない。そもそもこの騒ぎを起こした保護者はマービンのお母さんなのだ。こっそりロッカーに隠した本は徐々に増え、利用者も増えてきた。どうやって管理したら良いのか悩んでいると、昔は本に袋をつけて、そこに入れた名前を書いた紙で管理していたと知り(ニュアーク方式)それで管理を始める。貸出禁止の本とバレないようにと偽の表紙までつけた。だが、ある日校長に見つかってしまった。いったいどうしたらいいの? エイミー・アンは思いがけないアイディアを思いつくのだが、直前でせっかくの準備を妹にダメにされ、ついに絶望して家出を決行した。さて、貸出禁止騒動の行く末は? エイミー・アンの思いがけない反撃方法と、さいごまでぬかりなく図書館のあり方(読者のプライバシー)を示す司書のジョーンズさん、そしてここであがった本が、本当に貸出禁止の対象になったことがある本だという解説の衝撃まで図書館員目線で読んでも大満足。だけど、常に何も言えずに自分の意見を飲み込んできたエイミー・アンが、大好きな本のために、少しづつ変わっていく様子が魅力。