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スプーンおばさんのゆかいな旅

 

 スプーンおばさん3冊目は短編ではなく1冊で1つの物語、ご亭主との自動車旅行です。自慢のおんぼろ車を走らせたくて仕方ないご亭主。レースに出るんだとおばさんを乗せて出かけますが、いやクロスカントリー競争にしよう、いや魚釣り競争だと、くるくる目的を変えます。でも、スプーンおばさんは動ぜず「ええ、おやんなさいよ」と受け入れ旅を続けます。一方ご亭主は自分の要望を押し通しているようでいて実は、ふいにティースプーンのように小さくなる”体質”のおばさんを心配し振り回されてもいるのです。何枚もうわ手のおばさんは、旅の間にちゃんと自分の望みだった動物を1つ1つ、子ネコ、子ブタ、子犬、メンドリと手に入れて、最後はご亭主にうちで飼うことを認めさせてしまうのですから。ところで、スプーンおばさんが考えをめぐらせる時に「鼻に指をあて」るポーズが、「あたまをつかった小さなおばあさん」(ホープ・ニューウェル作)にちょっと似ています。
プリョイセンは歌をつくるのが得意だったそうで、ふんだんに散りばめられた歌が楽しい作品になっています。  (P)