Ｋさんに手紙で話しかける形式で、著者が自分の思いを伝えるように書かれた本。それが押しつけがましく感じられないのは、著者が耐えず自問自答して迷いながら素直な思いを語っているからだろう。何でも「カワイイ」とすることへの抵抗感。「怒り」「ひとりでいる」の重要性など、通常の価値観を疑い、ふんわりした居心地の良さを恐れる。ヒトリデデキルことが目的となる教育。でも、ヒトリデデキナイからこそ他者と助け合う人間のあり方。また、組織の「ホウ・レン・ソウ」は大事だというけれど、それが常に一方通行の場合の危険など、はっとさせられる指摘が多い。正論につぶされそうになっているまじめな子の救いとなってくれる本。
