味の種類や味を感じるメカニズム、そして「うま味」が味の要素として世界に認められるまでの経緯をまとめた本。やや専門的なことも書かれているので、著者自身も「はじめに」で「難解なところはとばして読んでください」と書いている。でも正直いうと、著者自身がこう言っていいのか? とも思った。読んでて、読者として難解なところは正直飛ばして読んでいる。著者がわざわざ言わなくても、今どきの中高生は、著者にこう言ってもらわないと飛ばし読みができないのだろうか? さて、内容。「おいしさの要素」が一番わかりやすくおもしろい。動物がはじめて食べるものに対して警戒する「新奇恐怖」。また、食べ物が食べた時のイメージで記憶され「おふくろの味」になったり、一度でも当った食べ物が嫌になるなど納得。これを導入にして、後半はうま味受容体の発見やその認知に移っていく。この後半が確かに難しいし、特に関心がない人には読みずらい。ただ、実際に何らかの研究経験(自由研究でも)あると、それと照らし合わせて証明方法などのプロセスを楽しめるかもしれない。実際に、きっちり味のメカニズムを知りたいという調べ学習には有用。何となく読みたいという自由読書で選ぶにはちょっと敬遠されそうな本だった。