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ピーターとオオカミ

 

ピーターとオオカミ

ピーターとオオカミ

 

ロシアの作曲家プロコフィエフがロシアの民話を元に作った音楽物語「ピーターとオオカミ」。ハワード絵の素朴な絵本(岩波書店)などありますが、本書は2019年夏「セイジ・オザワ・松本フェスティバル」にて、俳優ムロツヨシさんの語り、降矢ななさんの絵で上演されたものから作られました。
見返しに登場人物を演じる楽器の紹介があり、弦楽器がピーターを、ホルンがオオカミ、ほかに小鳥やネコをフルートやクラリネットが担当することがわかり、楽器の音色を想像しながら読むと味わいが増します。語りかけ口調のユーモラスな文章もムロさんの声で聞こえてくるようで、臨場感があります。
小鳥とアヒルが言い争っているとネコがしそっとのびよってきて、そのネコをオオカミがねらって、そのオオカミをなんと少年ピーターが縄1本でつかまえます。最後は、情けない姿のオオカミをハンターにかつがせて、大得意のピーターの行進です。
ピーターの知恵に負けてしまうオオカミですが、降矢ななさんの描くその目は鋭くも美しくて吸い込まれそう。その迫力を、もっと大判の絵本で感じてみたかった!(は)