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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

宇宙篇 SFショートストーリー傑作セレクション

 

 テーマのせいもあってか、全体的にちょっとハードSFの雰囲気があり、理系がすきな子が好みそう。『宇宙鉱山』小松左京は、宇宙の鉱山開発はこうなる!?的な、テーマを宇宙船の危機とともに演出。/『時間と泥』眉村卓は異星人進化と人間のコンタクトを宇宙人側から描写。/『バイナリー惑星』石原藤夫も、異星人の星の調査でわかった意外な真相。/『星は生きている』筒井康隆は、著者らしい一発ギャグ的なショートショート。/『宇宙救助隊2180年』光瀬龍は、宇宙での事故のサスペンスと、救助隊が負う宿命。/『処刑』星新一は、デビュー1年後の1959年発表で著者にしては長めの作品ですが、今雑誌に載せても全く違和感のないどころか、砂漠の惑星で水を出してくれる銀色の玉がなくては生きていけないのに、どこかに処刑のスイッチがあり、処刑スイッチを押してしまうと爆発して死ぬっていう設定。経済か、コロナかで悶々とする今を映し出すようです。