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クルミわりとネズミの王さま

 

クルミわりとネズミの王さま (岩波少年文庫)

クルミわりとネズミの王さま (岩波少年文庫)

 

クリスマス・イブ。マリーと兄のフリッツは、手先の器用なドロッセルマイヤーおじさんが作ってきてくれるプレゼントをとても楽しみにしていました。ところがその日マリーの心をとらえたのは、おじさん渾身の機械仕掛けのお城ではなく、小さくて不格好なくるみわり人形でした。その夜、マリーはくるみわりを隊長とする人形たちとネズミ軍との戦いでくるみわりを助け、そのお礼にお菓子の国へ案内してもらいます。マリーはドロッセルマイヤーおじさんが聞かせてくれた、ある姫と魔女と器用な時計師の物語から、魔法でくるみわりの姿にされてしまったのは、おじさんの甥だと確信。その折、おじさんとともに、くるみわりの衣装そのままの若者がマリーのもとへやってきて、マリーはお菓子の国のお后に迎えられたのでした。

始まりは確かに現実なのに、最後はマリーの夢なのか現実なのか不思議な余韻に包まれます。そういえば小学生の頃クリスマスの楽しみは、友人の出演するバレエ「くるみわり人形」でした。あの場面はそういうことだったのかと思い出しながら読みました。 (P)