児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

こちら『ランドリー新聞』編集部

 

 まじめだけど地味な女の子カーラ・ルイーズ・ランドリー。転校して入ったクラス担任ラーソン先生は無気力で、授業は自習ばかりなのを見て、壁新聞を作った。学校に起こった小さな事件をまとめたうえで、社説で「ラーソン先生は授業をしていません」と批判をぶちあげたのだ! クラスのみんなはびっくり。先生は思わず新聞を引き裂いてしまう。家でもカーラは叱られた。実は以前の学校でも学級新聞を作ったのはいいけれど、両親の離婚直後のストレスで、みんなに攻撃的な記事ばかりのせてトラブルをおこしたばかりだったのだ。「真実は大切、だけど思いやりも持って」とお母さんに言われて反省した。一方ラーソン先生も、自分がしてしまったことを後悔していた。次の日、なんと新聞の授業を開始。カーラは、クラスの仲間の援助を受けながら新聞発行を続けていった。ところが、これに目を付けたのが校長先生! 不適切な記事を載せた新聞を発行したとして、かねてから嫌っていたラーソン先生をクビにしようとしたのだ。親の離婚のせいでどんなつらい思いをしたかを書いた記事をとりあげ、個人のプライバシー侵害として訴えたのだ。子どもたちは動揺したが、新しいラーソン先生は落ち着いていた。この問題は「報道・出版の自由」だ、何が起こるか、どう論議されるか勉強しようと説明する。聴聞会の日、問題になった記事を書いたマイケルは、自分の記事を読ませて欲しいと訴え、それを聴いた大人たちは、その内容が素直で子どもたちにとって共感をよぶものだと感動する。そしてラーソン先生は、自分は確かに勤務態度が悪かった。だからそれで処罰されるならかまわないが、この記事を理由にクビにしないで欲しいと訴え、満場一致で懲戒動議は却下! 公正な記事を載せていたランドリー新聞の報道の自由は守られる。こういうテーマを物語にするのはさすがアメリカ。同時に、明るくユーモラスに描かれていて。読みやすいので、楽しくよめた。