児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ぼくのあいぼうはカモノハシ(2021年課題図書 小学校中学年)

 

ぼくのあいぼうはカモノハシ (児童書)

ぼくのあいぼうはカモノハシ (児童書)

 

 ルフスはドイツに住む男の子、サッカー帰りに動物園の側のバス停で不思議な動物に出会う。新種の動物発見と喜ぶが、あいにくカモノハシでオーストラリアに住む動物だと自己紹介された。なんと、このカモノハシは言葉がしゃべれるのだ! ルフスのお父さんは今、オーストラリアで仕事をしていてなかなか会えないのでとてもさびしい。とりあえずカモノハシは、他の人がみたらぬいぐるみのふりをすることが決まり、ルフスの家に一緒に行き、オーストラリアまで帰る計画をたてることになった。木に登ればオーストラリアが見えるかも、バスでなんとか行けないか? カモノハシにそそのかされ、ルフスはいろいろと試しては叱られるが、最後はついに飛行機の密航を成功させてオーストラリアでお父さんと再会する。さすがに飛行機密航は無理が・・・とも思うが、妙に自信あふれるカモノハシにそそのかされて、ルフスが始める冒険が楽しい。そして、本当にお父さんに会いたくてたまらないルフスの思いもよくわかる。ファンタジーのようなリアルのようなこの設定のさじ加減がなかなかおもしろい。カモノハシをどう感じていくかで、読者はいろいろと楽しめると思う。