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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

子どもの本は世界の架け橋

 

第2次大戦直後、ユダヤ人のイェラ・レップマンは亡命先のイギリスからドイツに戻り、平和への願いから子どもの教育「子どもの本を通しての国際理解」に取り組んだ。”世界の子どもたちが「本の橋」を渡って会えるように”。

まずは国際児童図書展の開催。お金はないので、展示用の絵本を送ってくれるよう各国に手紙で依頼。ドイツによる侵略に遺恨のある国から断られてもあきらめない。だからこそドイツの子どもたちへ貴国からのチャンスを。2度と侵略を恐れずにすむことそれは貴国の利益にかなうのではと説得。つまり相手を知ることです。

成功を収めた展覧会はミュンヘン国際児童図書館(1949)、国際児童図書評議会IBBY,1953)の設立へと続きます。

レップマンさん、とにかくすごい!行動力の人です。お役所手続きの壁にもひるまない。自分流を貫いて”えらい”相手を動かしてしまう。どうしてOKになったの?この行間にどんなやりとりがあったの?と思ってしまう場面がしばしば。自伝なので客観的解説がほしいところもあります。米大統領夫人エリノア・ルーズベルトや、コルデコット賞・ニューベリー賞創設者フレデリック・D・メルチャー、作家エーリヒ・ケストナーなどの強力な人脈にも恵まれました。1945年当時54歳のレップマン。迫力ある後半生が凝縮されています。 (は)