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この世界からサイがなくなってしまう(2022年課題図書中学年)

 

サイが、密猟のために絶滅の危機にさらされていることを訴えているノンフィクション。語り口がやわらかい割には、「多様化」「嗅覚」「寒冷化」などの用語はバンバン出てくる。なんとなくわかって読み飛ばすとは思うが、小学校中級に納得させるないようといいきれるのか微妙かも。また、密漁=悪、となっていて単純すぎ? と思ったら、後半でやっと密漁が続く理由、現地の貧しさや、先進国が角を欲しがるためという構造が記述された。これを解決しないと密漁は消えないだろうし、日本にいる私たちができるのは、まさに買わないことだろう。また、女性レンジャーが活躍しているとのことだが、女性なので武器を持たずに監視を強化して成功って、男性だと同じことができないのだろうか?(現地の文化的な背景とか?)。女性に活躍してもらうのはうれしいのだが、なんだか腑に落ちなかった。サイを守るのは重要だが、自然保護だけでなく、社会的な背景を変えないと難しそう。そして、コロナの影響で、さらに状況は悪化しているのでは?と心配になってしまった。