児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

焼け跡に風が吹く

 

1941年に小学校を卒業した主人公「ぼく」は、戦時下に生きることになる。家が貧しく進学が難しいが、成績が良かったことで、叔母の援助もあり進学。だが、上級生のしごきと勤労動員の中で日を送る。敗戦一年目の日本は、卒業しても職はなく大工の真似事、叔父の自転車屋など次々に仕事を変えながら、ぼんやりと進むことになる。淡々とした少年の視点は読みやすく、時代のスケッチのよう。だが、先輩の後輩いじめを体験し、勤労動員先で、同じ手法で統率を行うところなど、自覚なく何か恐ろしいものに染まっている感じがちょっと怖かった。