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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ドアのむこうの国へのパスポート

 

文字は大き目で読みやすいが、中身はギッシリなので読書力のある高学年から大人向け。主人公はラウレンゾー。(ドラフトさんのファンなら、ここでアレ? と思うはず)。新しい学校に転校したばかりのラウレンゾー。元の学校は29人のクラスメートの誰とも友だちになれなかった。近所の子も遊んでくれない。今度の学校はクラスが10人だけどみんなバラバラで個性が強い。トム先生は親切で本を読んでくれるから大好き。みんなが大好きな本の作者に手紙を書こうと言ってくれた。すると作家から家に招待され、ラウレンゾーはクラスのテヤと二人で代表として家に行くことになった。家の中には鍵がかかった不思議な扉があって、そこから別の国に行くために、パスポートやビサが必要だと言われる。トム先生のクラスでは、さっそくみんなでパスポートの申請書を書き、すてきなビザをデザインしようと頑張る。扉の向こうというのはいつだってあこがれ。そしてクラスの一人一人は、みんな何かの困難を抱えていて、いじめられたことがある。オランダでも特別支援学級への差別があるのか! とちょっと驚いたが最後までどうなるのかドキドキしました。結末を一瞬不満に思う子もいるかもですが、現実の中で心を広げるようなこうした展開もステキです。