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帰命寺横町の夏

 

祐介は、夜明けに二回の窓から、自分の家から白い着物を着た女の子が出ていくのを見てびっくりするが、さらにそれが自分のクラスにいて、自分以外のみんなは、その子をよく知っているというので混乱する。折から、5年生の授業で、地元の古い地図を見たところ、自分の家のあたりが帰命寺横町とよばれていたことを知る。でも、寺などない! 折からの夏休み、自由研究として調べていくうちに、帰命寺とは、祈ると死んだ人が生き返るという言い伝えがあり、寺ではなく守り本尊を檀家が守っていたこと。それが祐介の家にあった可能性を突き止める。女の子あかりは、よみがえった子なのか? だが、夢に向かって生きたいと願うあかりを、祐介は応援したくなってくる。そしてあかりが昔読んだという「月は左に出ている」という物語が、入れこのように挿入され、その作者の思いがけない正体が明かされ、結末へと向かう。ちょっとミステルアスで楽しく読める。