16歳を迎えた少女たちは魔力を宿し、危険な存在になるため一年間街から追放される。森の奥のキャンプで魔力を解き放ち、清らかになるために。だが、このグレイス・イヤーについては決して語ってはいけないとされている。帰還した少女たちは、いつも憔悴して痩せこけ、傷を負っているものも多く、命を落とすものもある。キャンプのまわりには密猟者が待ち受け、外に出た少女を狩って、皮をはぎ、内臓を刻んで魔力の素材として売りさばくのだ。出発前に求婚の儀があるが、反抗的なティアニーは自分は選ばれないし、選ばれたくもないと思っている。だが、親友のつもりだったマイケルがまさか申し込んできた。町の有力者同士としてマイケルはキルステンと結婚するものと思っていたのに! 女の子たちのリーダー役のキルステンは、ティアニーを憎悪している。父から野外での知識を教えてもらったティアニーは、キャンプ地で秩序あるなともな暮らしをしようとするが、徐々に精神に異変が起き始める。魔力は本当にあるのか? ついに孤立してしまうティアニー。いったい何がおこるのだとハラハラと読み進めるが、父や母、姉に対しても徐々にティアニーが誤解していた真実の姿がみえてくる。変化は実はすでに始まっていたのかもしれない。ティアニーだけでは変えられない世界を、だからこそ変えていく変化を推し進めなければいけないと思わされた。