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みんなをつなぐアイヌの糸

 

木の皮でつくるというアイヌの布「アットゥシ」。木の皮をどうやって糸に?と、ずっと不思議に思っていました。この写真絵本で、その疑問がすっきり。

北海道の二風谷で60年以上もの間、アットゥシを織りつづけている貝澤雪子さん。その工房を訪ね、森での材料集めから糸作り、機織りの工程を追いました。

「8割が糸作りで、2割が機織り作業」と話すように、材料とりから糸作りが特に肝心で、体力のいる作業です。森の木の皮を長くはいで、煮こんだり川で洗ったり、何日もかかってとり出した繊維は、やわらかく伸びる網目模様で、神秘的なすがた。織りあげた反物で仕立てた着物には、アイヌの伝統的な文様が刺しゅうされ、とても美しいです。

雪子さんの半生や、地元の小学校で行っているアイヌ文化体験授業の様子、アイヌ文化を守る植林事業なども紹介されています。 (は)