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なぞのヒョウのゆくえ

 

なぞのヒョウのゆくえ (世界児童文学の名作B)

なぞのヒョウのゆくえ (世界児童文学の名作B)

 

「シーラス」シリーズのセシル・ボトカーの作品ですが、翻訳名がベズカーとなっていたため、最初きづきませんでした。翻訳者の大塚さんによれば、ベズカーの方が原音に近いそうです。

ティペソは、生まれたばかりのメスの子牛を目の前でさらわれた。さらったのは”あれ”。悪賢くて、大きく、昼でも家畜を襲うのでみんなから恐れられていたヒョウだ。恐ろしさのあまり、みんなは“あれ”、としか呼ばない。ティペソは、ヒョウを退治できるのは≪大きい人≫だけだと思う。村へ出て偉大な≪大きい人≫に助けてもらおうとしたティベソは、鍛冶屋に捕えられる。ヒョウのふりをして牛どろぼうをしている鍛冶屋の正体をティベソが足跡から見破ったためだ。無人の死の村に放置されるが、なんとか脱出。鍛冶屋と敵対しているらしい一行に救われるが、心を許していいのかわからない。獣のヒョウとヒョウのような人間、ティベソは懸命に逃げる・・・よく考えると、鍛冶屋の敵対者たちは結局何者?と微妙な点が残る。作者がエチオピアにいた見聞からインスピレーションを得た物語。