- 作者: アリソン・アトリー,上条由美子,松野正子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/06/16
- メディア: 単行本
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12月17日は、アリソン・アトリーの130回目の誕生日です。ビアトリックス・ポターなんかに比べると、一向にメジャーにはならない彼女ですが、それでも、20年前にはThe Country Childが翻訳されるなんて、夢にも思いませんでした。
イギリス、ダービシャーの山奥の村で生まれ育ったアトリーの初期の自伝的作品。農場の少女スーザンのなにげない日常の暮らしが描かれます。
春夏秋冬の季節の巡りとともに展開する農場の暮らし、それを受け止めるスーザンの心、いずれをとっても、この上なく愛おしい、すばらしい作品だと思います。
アトリーの一つの特徴は、「時間」の扱い方です。「時の旅人」に結実したように、何世代もの人びとが、連綿と積み重ねてきた時の厚みのつながりの中に、自分たちもまたいるのだという感覚は、同じ農場の生活でも、ワイルダーなどには全くない、アトリー独特の、あるいは英国の風土なのかもしれません。
カントリーチャイルドは、それだけでも完璧な作品ですが、スーザンの進学に至る続編もあり、いつかは日本語にならないかな、と思っています。