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ディアノーバディ

 

ディア ノーバディ (新潮文庫)

ディア ノーバディ (新潮文庫)

 

 高校卒業目前のクリスとヘレンは恋人同士。ところが、2人の初めての体験は、新しい命の誕生につながってしまった。本当に妊娠なのかとおびえるヘレン。急に冷たくなったヘレンにとまどうクリス。クリスの母は、彼が10歳の時に家を出て、その後ま連絡がなく、ヘレンの母は、ヘレンとの間に壁をつくり打ち解けてくれないので、2人は益々追い詰められていく。母を尋ねるクリス。そして祖母、母の間の秘密を知ることで母を理解するヘレン。そしてヘレンはお腹の中の誰かに「ノーバディ」と呼びかけ産む決心をする。だが、互いの人生のためにクリスとは結婚しないこともまた、決意した。ついに迎える出産の時、そして試練を越えていくヘレンの強さが魅力的。悩むわりには無力で所詮「ノーバディ」の事を考えていなかった自分が暴露されるクリスの姿も、等身大の男の子像。カーネギー賞受賞作だが、新潮文庫で出版。