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木馬のぼうけん旅行

 

木馬のぼうけん旅行 (福音館文庫 物語)

木馬のぼうけん旅行 (福音館文庫 物語)

 

 おもちゃ作りのおじさんが作ったきれいな木馬は、とてもおとなしく、ずっとおじいさんと一緒にいたいと願い、一緒に暮らすことになりました。ところが町で安いおもちゃが売られるようになると、木のおもちゃを作るおじいさんは仕事がなくなってしまいます。仕事をさがす旅の途中で病気になり、親切なおばあさんが看護してくれますが、おばあさんは木馬がおじいさんの連れと知らずに、手ひどく追い出します。おじいさんのため、せめてお金をかせいで戻ろうと、木馬は仕事を見つけます。強欲な地主にこき使われたり、炭鉱で働いたり、果ては海を渡り、サーカスでも働きます。懸命に働いて儲けたお金が、次々に不運から失ってしまいハラハラしますが、おじいさんに会える日を信じ、木馬は決してあきらめません。さいごにやっと海を渡り、海賊の宝も手に入れて戻ると、おじいさんがいたはずの家は廃墟に! でも、感動の再会が待っています。これでもか、これでもかと続く不運と、それを跳ね返して手に入れる栄光の繰り返しは、まるでメロドラマ。でも、なぜか心惹かれてしまうのは、木馬の一途さのせいかも。少しずつよみきかせをしてあげたら、5歳くらいからハラハラドキドキで楽しみそう。