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ガーティのミッション世界一

 

ガーティのミッション世界一

ガーティのミッション世界一

 

 ガーディは元気いっぱいの5年生の女の子。ママとパパが離婚して、パパは海の石油プラントの仕事で留守がちなので、レイおばさんと住んでいる。ところが同じ街に住んでいたママの家が売りに出された。なんと、ママは再婚が決まって家が売れたら遠くに行ってしまうらしい。ガーディは自分が世界一ステキな5年生になって、ママにこんな素敵な娘を置いてよその街に行くなんてと後悔させるために、メチャクチャ張り切る。ところが美人で成績が良くて、父親が映画監督というメアリー・スーが転校してきたせいで何もかもがうまくいかなくなる。メアリー・スーは、パパの仕事まで海の環境破壊をすると言って攻撃を始め、ガーディはクラスから孤立してしまうところまで追い込まれるが、絶対にあきらめない! 劇の主役の座をメアリー・スーと争って手に入れたのに、あれ、なぜ? 予定どおりにうまくいかないことばかり。
最近、こういう元気いっぱい系の主人公が増えている気がする。お話で読んでいる分には楽しいけど、クラスにいたら友だちになりたくないと思う。幼児性が強くて、世界は自分が中心に回っていると思い込んでいるとしか言えなくて、友人を巻き込むけど、その友人への思いやりはなく、無条件にかわいがってくれているレイおばさんにちゃんと感謝の念も示さず、ベビーシッターであずけられているオードリーに言ってしまった残酷な言葉の謝罪だって結局ちゃんとしていない。何なんだろうかこれは? どんなことをしても、肯定されると勇気づけるためなのか? 別に、いい子である必要はないが、ここまでスペシャルな行動力がないと主人公になれないんだろうか? ガーディに振り回されているけれど懸命にがんばっている(でも大したことはできない)友人のジュニア辺りに主人公をして欲しい気がしてしまった。