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キャラメル色のわたし

 

イサベラは1週間交代で家が変わる。パパとママが離婚したから。そんな暮らしが正直いやだ。ママは白人、パパは黒人、だから私はキャラメル色。私はどちらの人種なの? なにもかも中途半端な気がする。ママにはジョンという彼氏がいるし、パパにはアナスタシアという彼女がいて、その息子のダレンは、やさしい兄さん役をしてくれている。ジョンもアナスタシアもとても良い人だけど、どこかでパパとママの3人に戻りたいと思ってしまう自分がいる。でも、それぞれはやさしいのに、イザベラをめぐって、時々パパとママが激しく争うのがたまらない。少し前まで、あまり人種なんて意識しなかったのに、友人のイマーニは、黒人だというので首つり縄がロッカーに置かれるという嫌がらせをされた。そして弁護士のパパは、いつでも完璧な高級スーツを着ている。そうすることで警察からの不当な扱いを避けられるからと。

二つの家という中途半端さを、両親とそれぞれのパートナーの愛で克服していくイサベラ。だが、たまたま寄ったアイスクリーム屋の近くで銀行強盗があり、黒人の義兄ダレンは犯人扱いをされて尋問される。落ち着いた対応で無事に釈放してもらえそうになり、安心して思わずポケットから携帯を取り出そうとしたイサベラは、銃を出そうとしたのだと勘違いされて撃たれてしまう! 社会状況が日本と違いすぎるので、正直途中では過剰反応? と思っていたが、アメリカの黒人差別問題はやっぱりすさまじいと考えさせられた。まったく違う文化の社会を理解したい。