児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

アリブランディを探して

 

アリブランディを探して (STAMP BOOKS)

アリブランディを探して (STAMP BOOKS)

 

 ジェシーことジョセフィン・アリブランディは17歳。奨学金をもらって地域のお嬢様学校に通っているけど、ママは未婚の母のシングルマザーで、いつもちょっと場違いみたいな気がしている。生徒会の副会長をしていて会長のアイヴィは天敵! 校内にいろんな派閥がある中、いつも仲良し四人組でつるんでいる。アナは美人なのに神経質で気が弱い、セラはいつでも派手で彼氏をとっかえひっかえ、リーは一見そう見えないのに近くに行くと吸い寄せられるような魅力があってパパがアル中。ジェシーはママとはいつも仲がいいけれど、ことあるごとにイタリアの伝統を言って口を出すおばあちゃんは大の苦手。そんな中、生まれてから一度もあったことがないパパが街に帰ってくることを知った。パパが誰かはママしか知らないし、パパはジェシーがいることを知らない。無関心でいるつもりだけどやはりパパのことが気になる。地域の名門校の有名人ジョンにあこがれていたけど、気付いたら地元の公立高の生徒会長で小さい頃に卵をぶつけられたジェイコブと付き合い始めてしまった。イタリア系じゃないジェイコブは、ママに紹介しないと付き合えないというジェシーの言葉をなかなか理解してくれない。そんな中、不本意なつもりなのにパパにひきつけられ、いつも聞き流していたおばあちゃんの話に耳を傾けるようになっていった。イタリア系ということで「色つき」と差別されることへの怒り、ガチガチの伝統を引きずるおばあちゃんやイタリアコミュニティへの反感と、同時に自分もその一員である自覚。高校を卒業し、大学に進学しようという大人への階段を上がろうとしている、勝ち気で、甘えん坊で、頭が良くて、でもまじめな優しさがある姿がすてきです。