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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ローザからキスをいっぱい

 

ローザからキスをいっぱい

ローザからキスをいっぱい

 

 作者自身が、子ども時代におかあさんが結核療養で離れて暮らさなければならなかった体験をもとにした絵本。母親と離れた不安。親切なおばさんやいとこ、そして近くの農場のシュミットさん夫妻に囲まれて平穏に暮らすけれども、やはり恋しくてたまらないおかあさんへの思いが描かれる。隅々まできちんと描かれた素朴な雰囲気の絵が作品によく会っていて、最後におかあさんに会うためにクリスマスに帰宅していく主人公の幸福感がしみじみと伝わってくる。