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ちびねこグルのぼうけん

 

ちびねこグルのぼうけん (世界傑作童話シリーズ)

ちびねこグルのぼうけん (世界傑作童話シリーズ)

 

 グルは灰色の子ねこ。うれしいとグルルルとのどをならすので「グル」と呼ばれています。しっぽが短くて気もちょっと気が短い、「ちっくしょう!」というのが口ぐせです。ある日グルは、お母さんやきょうだいから離れて1匹だけジェームズさん夫婦の家へもらわれていきます。グルはジェームズさんの家にいさせてもらいたくて、しだいに気短かを治す努力を始めます。そしてある夜、お店に忍びこんだどろぼうを追い返したことで、ずっとおいてもらえることになるのです。
グルは人間の話す言葉がわかるのですが、グルの言うことを最初にわかってくれたのは、ジェームズさんが営むドラッグストアの家に住む男の子ピーターと、近所のスミスおじいさんでした。ほかにもアイスクリーム屋さんとも友だちになったりして、グルがジェームズさんの家にいたいのはそういう友だちのおかげかなと感じます。ジェームズさんがグルのことをわかるようになるのは最後の最後。グルの気持ちで読んでいるとそこが少し腑に落ちない気がします。学校司書になりたての頃、3年生の男の子に「しっぽが短いねこで、なんとかのぼうけんっていう題名」と聞かれ(ちょっと試すように?)、私はあまり印象にない本だったので、子どもはよく覚えているものだなと思ったことがあります。    (は)