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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

サムとぶらぶら またまたおめでたこぶた

 

 シリーズ特別編の全8話。「学校にもぐりこんだサム」では、正式名の”サミュエル・ピッグ”と名簿に書きこんでもらい誇らしくなるが、好き勝手にしゃべったり歌ったりし過ぎて先生を困らせてしまう。川の赤ちゃんを釣り上げたサムが家に連れて帰ったところ嵐が起こる「川の乙女」や、ブロックさんの魔法の箱を開けてしまったサムが千年間宝石を守ってきた妖精に捕まってしまう「ブロックさんの秘密」など不思議な話のほか、牧場の木戸から歌や若い樫の木だった頃の思い出を聞かせてもらう「木戸の歌」は詩的な1編。
判型や文字がひと回り小さく挿絵も少ないので、既刊の3冊より少し上級向けです。シリーズ4冊を通して大人向けの巻末解説が充実しており、作品に関係するナースリーライムや昔話、妖精レプラコーンやブラウニーについての詳細や、アトリーの『昔の農場の台所からのレシピ』から料理の紹介、作品執筆当時のイギリスの社会制度など、作品理解が深まります。  (は)