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図書館のふしぎな時間

 

図書館のふしぎな時間 (未来への記憶)

図書館のふしぎな時間 (未来への記憶)

 

 ゆりかはお母さんの用事で国際子ども図書館に来ました。お母さんが調べ物をする間、1階の「子どものへや」で待つことにしたゆりか。まるく並んだ本棚を見渡して、前に読んだことのある『不思議の国のアリス』を見つけるとさっそく読み始めました。ふと気がつくとへやの中にはゆりかだけ。その時かすかな音がしてふり向くと、うしろの本棚に小さな小さなおじいさんがいて、自分は「すこしはものしり妖精」だと名乗りました。昔イギリスで出された本に住んでいるというその妖精は、その本がしまわれている書庫へゆりかを連れていき、つづけて「児童書ギャラリー」や「本のミュージアム」へと案内していきます。様々に翻訳された1,000冊以上の『不思議の国のアリス』や江戸時代の絵本、100年以上前に使われていた本のエレベーターなどを教えてもらい、図書館の本から広がる世界を楽しんだゆりか。お母さんの声にはっと目を覚ますと、そこは元の子どものへやで、妖精の姿はありませんでした。
著者が非常勤調査員として勤務した経験から着想を得たという作品。これは実際に行ってみたくなりますね。 (は)