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詩のこころを読む 岩波ジュニア新書

 

詩のこころを読む (1979年) (岩波ジュニア新書)

詩のこころを読む (1979年) (岩波ジュニア新書)

 

 岩波ジュニア新書発刊の年に出た本。中高生に薦めたい詩を「生まれて」「恋唄」「生きるじたばた」「峠」「別れ」というカテゴリーに分けて紹介。はからずも生まれ、成長し、恋をし、働き、老い、死んでいく人生の流れに沿った編集となっている。今から約40年前の本であり、面白いことに詩は古びて感じられないが、茨木氏の地の文に古びたところができている(例:駅の伝言板に・・・などの描写。今の中高生には何のことかわからないかも。また当時のまだ社会が安定した雰囲気)。著者が詩人であるだけに、同じ詩人として親交のあった岸田衿子氏の素顔を書き添えたところなどは楽しい。こうした本は、さまざまなタイプの詩に出会えることが魅力。素直に書かれたわかりやすい入門書としての本だが、1979年ごろにはあった人生プランが崩壊しつつある現在、同じ詩を取り上げても、新しい読みがでてくるかもしれないと感じた。それをやるのは、今の中高生読者だろうか?