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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

<超・多国籍学校>は今日もにぎやか! (岩波ジュニア新書)

 

横浜市飯田北いちょう小学校という多国籍の児童が多い現場の実践報告だが、何かの報告書を読んでいるようで、読み物としては正直イマイチだった。だが、多国籍児童の教育について調べるなら参考にはなる。例えば、母国語を忘れずに高校や大学に進学できる日本語能力を習得できる年齢が小学校3年位都のことや、日本語が不十分な親とのコミュニケーションがうまくいかなくなる問題などが具体的に書かれていてなるほど、と納得した。ブラジルやアメリカでの移民教育のことも触れている。自己の確立のために自分の母国とのつながりが重要であり、外国から日本に来て、日本人として暮らすのではなく、もともと持っていた文化を活かすことでより日本を豊かにできるはず、という視点は有益。これから、日本で働く外国の方が増えそうな中で、変に“日本”にこだわらないことが必要でしょうね。