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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

天使のにもつ(2020課題図書 中学生の部)

 

天使のにもつ (単行本図書)

天使のにもつ (単行本図書)

 

 中学2年の斗羽風太は、子どもと遊べばいいのだから楽だろうとエンジェル保育園を選んだ。だが、めんどうを見てくれる林田先生は次々と用事を言いつけてくるし、子どもたちはなかなか生意気で、風太のやることを注意したり勝手になとわりついてくる。だが、マイペースな風太は子どもたちに好かれ、とりわけクラスでもおとなしいしおん君がなついてきた。おとなしいけれど、ちょっと神経質なしおん君。風太は、偶然外で母親としおん君が一緒にいるところを見て、母親に虐待されているのではないかと不安になる。偶然拾ってしまった子犬をどうしたらいいかと悩んだり、ちょっと場当たり的ながらも素直なところのある風太のキャラは、いかにも子どもに好かれそう。でも、もうちょっと普段の風太(学校ではどんな生徒で勉強にはどう取り組んでいるのか)がわかると、もうちょっと風太くんにリアリティが出る気がした。口調はちょっと不良っぽく、ふまじめっぽいけど気がいい雰囲気が、逆にこういう感じの男の子っているかなぁみたいな気も・・・。でも、保育園や子どもたちの雰囲気も良く出ていて、今年は職場体験ができないだろう中学生たちに、せめて本の世界で楽しく体験して、自分が風太だったらと、空想させてあげたい気がしました。