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ヘスースとフランシスコ エル・サルバドル内戦を生き抜いて

 

ヘスースとフランシスコ (福音館の単行本)

ヘスースとフランシスコ (福音館の単行本)

 

 写真家長倉洋海氏の写真家としての成長の過程が、1982年にフリーの写真家として飛び込んだエル・サルバドル内戦の難民キャンプの女の子ヘスースとの出会いが断続的に2001年まで交流が続いていく過程と重なっている。内戦と地震という二つのトラブルを乗り越えて成長し、無事に幸せな結婚と出産をしたヘスースを中心に、さまざまな出会いを描いている。戦場の衝撃的な写真だけではなく、その中での大切な日常を送る人々の姿を描いて魅力。ろくに食べるのが難しいような生活だからこそ、助け合って暮らす難民キャンプなどの貧しい人々。微笑み、働く子どもたちや大人たち。内戦という先の見えない出来事の中で、ともかく生きていこうとするその姿に、写真家が魅了されていったことが収録されている写真の数々からも伝わってくる。