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ぼくだけのぶちまけ日記

 

ぼくだけのぶちまけ日記 (STAMP BOOKS)

ぼくだけのぶちまけ日記 (STAMP BOOKS)

 

ヘンリーは父さんと二人で暮らしている。転校した学校でも孤立しているが、見るからにオタクで友達がいなさそうなファーリーになつかれてしまった。セシルというセラピストのところに通うヘンリーには何か深刻な事情があるらしい。ファーリーに連れていかれたクイズ研究会。そこでちょっと個性的な女の子、アルバータと出会う。父さんと二人で暮らすアパートには、ケバくて父さんにモーションをかけてくるカレンや独り暮らしがさびしいのかカレーを差し入れてくれる隣人アタパトゥさんがいてイラついている。徐々にヘンリーには兄ジェシーがいたこと、そしてひどいイジメにさらされていたこと、とうとう耐え切れなくなった兄が恐ろしい事件を起こしたことがわかる。(父親の銃を持ち出して相手を撃ち、自分も自殺するという大事件をおこしたことがわかる。)一家はそれまで住んでいた所から逃げ出し、母親は心を病んで入院してしまった。周りに知られずにおびえて生き続けるしかないのか? 両親はもうもとに戻れないのか? 13歳には過酷な問題を抱え込んだヘンリーが、必死に生きていくようすを悲劇的にではなく、どこか不思議なユーモアを交えながら説得力をもって描いている。