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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

黄金のファラオ

 

エジプト、王墓の谷発掘の物語を、フィクションとノンフィクションでおもしろく。

第一部が創作。3千年以上前の王墓荒らしの顛末。黄金の宝の眠る場所へ壁から壁を破って進むスリル、どろぼう一味の仲間割れ、影で操る人物と権力の存在(墓どろぼうが入る夜に限って警備がゆるいとか・・・)。
第二部。ロゼッタ石を掘り起こすわくわくする瞬間。花枠に囲まれた王の名をヒントに聖刻文字(ヒエログリフ)の解読に成功した若き言語学者。ピラミッドは王墓だという発見。その建築年代を特定したエジプト学者の功績。

そして第三部。ツタンカーメンの墓の発見のために、15年の月日を費やし念願成就した考古学者と、資金面で支えた伯爵らの発掘ドキュメントが、第一部の空想話とリンクしておもしろい。

口絵カラー写真もあるが、本文モノクロ写真からも、王の棺の黄金の輝きとその造形美が伝わって貴重。 (は)