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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

てんをおしあげたはなし 中国チワン族のおはなし

 

ずっと昔のこと、仲良しきょうだいの天と地は、ぴったりくっついて何をするのも一緒でした。ところが、あるときから太陽や月、草や木に動物や人間たちが間にわりこんできたせいで、天と地はだんだん離されていきました。

「はなればなれは いやだ」。きょうだいは、またぴったりくっつくために、上から下から力いっぱい押しあいを始めました。困った生き物たち。ぎゅうぎゅう押されて苦しくて、太陽は真っ赤になり月は青ざめ、動物はよつんばいになり。人間の若者はがんばって立ちつづけるも、年寄りの腰はまがってしまいました。

「天と地のあいだにつっかいぼうを立てるのじゃ!」おじいさんのひと声に、みんなは森の奥から大きな大きな木を4本切り出してきました。1本を東の果てへ、1本を西の果てにと順に立てますが、1本立てると、天と地に倒される、また1本立てればあちらが倒される。「4本いっぺんに立てるのじゃ!」おじいさんのもうひと声で、人間たちは四方に分かれ力を合わせて、つっかいぼうを立てることに成功。今度こそ、天と地がいくら押してもびくともしません。おかげで私たちは、今でも天と地の間で暮らしていられるのです。

なぜ天は落ちてこないのか。昔の人は、おもしろい話を考えたものです。佐々木マキさんが描いたつっかいぼうは、巨大なバオバブのよう。ユーモラスで頼もしい存在感をはなっています。 (は)