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パールハーバーの目撃者 子どもたちの1941年12月7日

 

2013年にパール・ハーバーにある歴史的建造物に住むことになった著者が、かつてそこに住んでパールハーバーを目撃した子どもたち(もちろんすでに老人となっている)から証言を聞いた記録。それまで、ごく平和に暮らしていた島への、突然の爆撃。油まみれで岸に泳ぎついたり、やけどの重傷を負った兵士たちを見た恐怖。安全のため、ダンジョンと呼ばれた窓のない地下に閉じ込められ、バケツをトイレに使い、不安に過ごした体験。遠い過去のできごとなのに、それぞれが鮮明におぼえている。現在のウクライナの子どもたちも、突然戦争の中に投げ込まれて、こうした思いをしているのだろう。ただ、少し前から日本人のメイドがいなくなった等々については、子どもの立場なので詳しい経緯はここからは、わからない。撃ち落された日本兵を見て憎しみにかられた男の子もいる。一方でベリンジャー大尉の妻、パトリシアは、夫を残して娘たちと本土に向かった後で、駐日大使の日本人の妻と娘と一緒のピクニックを手配したエピソードに、心打たれる。敵国で収監中である日本人と、それまでの友人として交流することは(とりわけ、直に奇襲攻撃を受け、夫が交戦中なのに)なかなかできないこと。戦争は決してしてはならない、また、始まった時も憎しみだけで動いてはいけないと思わされる。*真珠湾攻撃は、日本時間では12月8日ですが、時差のため、現地では12月7日